「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(中教審 答申(案))」について意見表明をしました

平成30年10月3日

中央教育審議会大学分科会・将来構想部会 会長 永田恭介 殿

 

「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申(案))」に対する意見表明

 

全国公立短期大学協会 会長 鈴木道子

 

2040年を見据え、多方面にわたって高等教育が目指すべき姿を検討され、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン (答申(案))」を策定されました貴職をはじめ関係各位のご尽力に心から敬意を表する次第です。

さて、本協会は、答申(案)について、加盟大学からの意見をとりまとめましたので、別紙の通り意見表明をいたします。

 

(別紙)

「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン中央教育審議会(答申(案))」についての意見表明

1.全般事項について

(大学をはじめとした高等教育と社会との関係)(12ページ)において、「学問の自由」、「大学の自治」という文言は見られますが、全体的な印象として、企業や国の経済発展のための高等教育と位置付けられている感が拭えません。「学問の自由」や「大学の自治」は、国(政府)や企業の利益と必ずしも一致するものではなく、対立することもあり得ますが、将来を見据えた場合には尊重されなければならないものです。

また、目先の最先端技術革新のためだけでなく、すぐには何に役立つかわからないような基礎的研究の育成は、これからの予測困難な時代にはきわめて重要なことであり、応分の財政的支援をすることが将来の高等教育を衰退させないために必要不可欠です。

(高等教育が目指すべき姿)(7ページ)では、本答申の骨格となる考えの一つである「何を教えたか」から、「何を学び、身に付けることができたのか」への転換は、教えること一辺倒のこれまでの教育からは脱皮していますが、2040年代のグランドデザインとしては物足りないのではないでしょうか。教育の本質である“教”と“育”のもう一方の“育”に高等教育は重点を移すべきと考えます。
特に、(我が国の世界における位置付けと高等教育への期待)(6ページ)では、「直
面する課題を解決することができるのは「知識」とそれを組み合わせて生み出す
「新しい知」である」と唱えられています。しかし、“知識を組み合わせて新たな
知を生み出す”ことは、2040年代ではAI(人工知能)の独擅場でしょう。
2040年代の教育は、「無から有」を生み出す人材育成が重要です。これまでの
知識や、データでは生み出すことのできない、新たな知の創造:「人間は考える葦である」を実践できる人材育成が期待されます。

2.公立短期大学について

(短期大学)(41ページ)において、「2040年に向けては、短期高等教育機関として、大学制度における短期大学の位置付けの再構築について検討することも必要である」とあります。

近年、産業界と連携した教育を行う高等教育機関が期待されるあまり、おしなべて専門職短大等へと政策誘導が行われるとすれば残念なことです。

まず、短期大学の役割については、ともすると女子学生の教育が強調されがちですが、現状では、男子学生もかなり在籍(14%=28年度)していることにも留意する必要があります。また、公立短期大学は、学費が安く保護者の負担が少ないことから、志望の理由に「学費が安いこと」を挙げる学生が極めて多く、経済的理由から4年制大学に進めないという地方の実情があることにも注目すべきです。

公立短期大学は、自県内から多くの学生を受け入れ(自県内61%=29年度)、産官学とも継続的に連携を図り、就職希望者のほとんどが就職し、かつ自県内への就職率も高いなど、地域における産業等を担う人材育成を行うとともに生涯学習の拠点となるなど地方創生に貢献してきています。

また、学生の中には、学修を続けるうちに4年制大学などへと進む者も少なくなく、海外の大学などへと進む者もあります。

このように、輩出した人材が産業界から継続して評価され、また、4年制大学などへと進路が広がっていることは、それぞれの大学が特色を生かしつつ、総合的教養教育にも力点をおいた専門教育を行うという公立短期大学の特色ある教育方針によるものです。

短期大学の位置付けの再構築について検討する際には、以上のような特色や地域の実情等にも留意をしていただき、公立短期大学が、それぞれの地域において「強み」や「特色」をさらに発揮できるよう検討していただきたいと考えます。

 

 

(参考資料)<略>